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ひよっ講座 vol.37 『企業型DC以外の経営者向けお得な制度②』

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ひよっ講座では一般社団法人確定拠出年金推進協会東北支部の協力のもとiDeCoについてわかりやすく解説するコラムです。既に確定拠出年金を運用している方も、これから始めてみようと思っている方も、お付き合いください。

前回に引き続き、経営者向けのお得な制度を紹介します。第一回は「小規模企業共済」についてお話ししましたが、今回は「経営セーフティ共済」についてお話ししていきましょう。

経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)は、取引先事業者が倒産した際に、中小企業が連鎖倒産や経営難に陥ることを防ぐための制度です。無担保・無保証人で掛金の最高10倍(上限8,000万円、掛金の上限は800万円)まで借入れでき、掛金は損金または必要経費に算入できる税制優遇も受けられます。前回ご案内した小規模企業共済と同様に、国の機関である中小機構が運営する共済制度です。

セーフティ共済の旧名称は、倒産防止共済と言いますが、実際に取引先が倒産した時に利用することは、ほぼ無いそうです。では、何故、多くの中小企業がセーフティ共済に加入しているのでしょう。

以下、中小機構のホームページに記載されている「安心の4つのポイント」です。

ポイント① 無担保・無保証人で、掛金の10倍まで借入れ可能

共済金の借入れは、無担保・無保証人で受けられます。
共済金貸付額の上限は「回収困難となった売掛金債権等の額」か「納付された掛金総額の10倍(最高8,000万円)」の、いずれか少ないほうの金額となります。

ポイント② 取引先が倒産後、すぐに借入れできる

取引先の事業者が倒産し、売掛金などの回収が困難になったときは、その事業者との取引の確認が済み次第、すぐに借り入れることができます。

ポイント③ 掛金を損金、または必要経費に算入できる

掛金月額は5,000円~20万円まで自由に選べ、増額・減額できます。また確定申告の際、掛金を損金(法人の場合)、または必要経費(個人事業主の場合)に算入できます。

ポイント④ 解約手当金が受けとれる

共済契約を解約された場合は、解約手当金を受け取れます。
自己都合の解約であっても、掛金を12か月以上納めていれば掛金総額の8割以上が戻り、40か月以上納めていれば、掛金全額が戻ります(12か月未満は掛け捨てとなります)。

ポイント①と②は、取引先が倒産した場合に連鎖倒産から免れるという本来の趣旨に基づいています。

ポイント③では、掛金は全額損金算入と掛金を増減できるという点が素晴らしいのです。損金に算入されますが、「保険積立金」として資産計上もできます。その場合、法人税を計算する時に、別表にて損金扱いします。資産計上しないところが多いと思いますが、その場合、いわゆる「簿外資産」が作れるのです。

年払いと月払いが可能です。増減できるということは、儲かっている時に上限の20万円×12カ月=240万円の損金が作れます。儲かっていない時は、5,000円×12カ月=6万円まで落とすことができるのです。但し、掛金額の上限は、800万円なので、240万円を3回積立てて、4年目に80万円積立てると上限に達します。

ポイント④では、解約手当金は、40カ月(3年4カ月)加入していれば、全額戻るというのも良いですね。
解約手当金は、雑収入に計上されて、法人税の対象となります。一つの利用の仕方は、役員の退職時期に合わせて解約することです。役員退職金が損金になるので相殺することができます。もう一つは、業績が悪くなり、赤字になった時に解約します。
赤字の時は資金繰りも悪化していることが多いので「助かった」という経営者も多いのではないでしょうか。

経営セーフティ共済は、会社で加入します。一方、前回ご案内した小規模企業共済は、役員個人が加入します。
二つとも経営者にとっては大変うれしい国の制度です。是非、活用しましょう。

本記事はライターが校正を行った上で作成した記事です。内容は2024年1月10日時点の情報のため、最新の情報とは異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

WRITER この記事を書いた人

一般社団法人確定拠出年金推進協会 東北支部

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