コラム⼀覧

ひよっ講座 vol.36 『企業型DC以外の経営者向けお得な制度①』

お気に入り
#お金

ひよっ講座では一般社団法人確定拠出年金推進協会東北支部の協力のもとiDeCoについてわかりやすく解説するコラムです。既に確定拠出年金を運用している方も、これから始めてみようと思っている方も、お付き合いください。

今回から、経営者向けのお得な制度を複数回ご案内します。まず第一回は「小規模企業共済」です。
小規模企業共済は経営者の節税ツールとしてよく知られていますが、その節税効果だけでなく、受取時の税務もご紹介します。

小規模企業共済とは

国の機関である中小機構が運営する共済制度で、中小企業経営者や役員、個人事業主のための「退職金積立制度」です。退職金積立ですが、会社ではなく経営者個人が加入し積立します。積み立てたお金は退職や廃業、死亡時に受け取ります。

掛金の節税効果

掛金全額が「小規模企業共済等掛金控除」となり、その年に積み立てた金額分だけ課税所得を圧縮できます。つまり、経営者個人の節税効果が非常に高いです。

掛金は月1,000円~70,000円で、途中で変更も可能です。

小規模企業共済等掛金控除は、個人型DC(iDeCo)の掛金でも使用する項目です。どちらも加入している経営者は、両方の節税効果を得ることができるのも大きな魅力です。

例えば、個人事業主のiDeCoの掛金上限額は月68,000円です。小規模企業共済を70,000円、iDeCoを68,000円積み立てると、年間1,656,000円の課税所得を減らすことができます。

会社経営者のiDeCoの掛金上限額は月23,000円です(他の企業年金を実施していない場合)。
個人事業主並みの節税効果を期待したいなら、iDeCoではなく企業型DCがおすすめです。企業型DCはiDeCoよりも掛金上限額が高く、月55,000円です。

共済金の受取

小規模企業共済で積み立てたお金(共済金)は、受け取り方によって所得の種類や税額が異なることをご存じでしょうか。ここでは一括受取の税務をご紹介します。

① 役員の退任や廃業による受取

「退職金積立」という目的通りの受け取り方です。共済金は「退職所得」となり、
退職所得控除を引いたうえで税額を計算します。受け取った年に他の所得があっても合算しない「分離課税」であることも、退職所得として受け取る大きなメリットです。

② 死亡による受け取り

在職中に亡くなられた場合、共済金は「死亡退職金」として経営者のご遺族が受け取ります。死亡退職金には非課税枠があり、その額は500万円×法定相続人の数です。

③ 任意解約による受け取り

在職中に共済金を受取ることも可能です。任意解約の場合、受け取った共済金は「一時所得」です。退職所得に比べ控除できる額が少なく、他の所得と合算し「総合課税」となるので注意が必要です。
ただし、65歳以上の方が任意解約する場合は退職所得扱いとなるのがポイントです。生涯現役の経営者も、在職中に退職所得として共済金が受け取れます。

経営者個人の節税と資産形成に有利な小規模企業共済についてご紹介しました。次回は、法人の節税効果が期待できる「経営セーフティ共済」をご紹介します。

本記事はライターが校正を行った上で作成した記事です。内容は2023年12月26日時点の情報のため、最新の情報とは異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

WRITER この記事を書いた人

一般社団法人確定拠出年金推進協会 東北支部

  • 日々の生活に学びをプラス KU-TAN ACADEMY
  • 今から考える、未来のじぶん コラムで学ぶ 介護、相続、老後