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ひよっ講座 vol.66 『なぜ、株式投資はインフレに強いのか』

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ひよっ講座では一般社団法人確定拠出年金推進協会東北支部の協力のもとiDeCoについてわかりやすく解説するコラムです。既に確定拠出年金を運用している方も、これから始めてみようと思っている方も、お付き合いください。

「株式投資の勧め」と題して、数回に渡り、そのメリットをお伝えします。「株式投資」としていますが、お勧めは、複数の株式に分散投資している株式型投資信託です。個別株は、どんなに大丈夫と思っている会社であっても、破綻すると、「株券は紙切れ(0円)」に変わります。現在は、株券の発行は無いので紙切れにもなりませんが。現に、株主優待で人気のあった日本航空(JAL)は2010年に破綻しました。

株式投資がインフレに強い理由として、以下の6つの項目が挙げられます。

1. 企業は価格転嫁ができる

インフレ(物価上昇)が起こると、企業の仕入れコストや人件費も上がりますが、最終的に販売価格を上げることで対応できます。例えば、原材料価格が上昇したとしても、メーカーが製品価格を引き上げることで、利益を維持できる可能性があります。結果として、企業の売上高や利益が増え、株価も上昇しやすくなります。

国民は、物価の上昇に賃金の上昇が追い付かず、大変な思いをしていますが、2024年の企業業績は好調でしたよね。

2. 実物資産を持つ企業は価値が上がりやすい

インフレ時には、土地や設備などの実物資産の価値が上がりやすいです。例えば、不動産を多く保有する企業(不動産業、鉄道会社など)は、資産価値の上昇が企業価値の向上につながり、株価が上がりやすくなります。

3. 名目利益が増える

インフレが進むと、企業の売上高や利益が名目ベースで増加します。例えば、売上高が10%増加し、コストも10%増加したとしても、利益が同じ割合で増えれば、投資家にとってはプラスになります。

この項目は、株式投資がインフレに強い理由の核心といっても良いでしょう。

4. 配当金の増加

企業の利益が増えると、配当金も増える可能性があります。株式投資の魅力の一つは、配当収入の増加が期待できることです。インフレ時には、物価上昇とともに配当金も増え、投資家の実質的なリターンを維持しやすくなります。

配当金目当てで、株式投資を行う人は多いです。年間、3%を超える配当金を出している会社は少なくありません。銀行預金の利率と比べると圧倒的に高いです。

5. 一部のセクターはインフレに特に強い

例えば、以下の業界はインフレ時に強いとされます。

エネルギー(石油、ガス):原油価格が上昇すると、エネルギー企業の利益が増加。

消費財(食品・日用品):生活必需品は値上げしやすく、売上が安定。

金融:金利上昇により、銀行などの収益が増加。

不動産:賃料や資産価値の上昇。

6. 債券よりも有利(債券は、インフレに弱い)

インフレ時には金利が上がるため、債券の価値は下がる傾向があります(既存の低金利の債券は魅力がなくなる)。最近、債券型の投資信託は、元本割れが続出しています。

一方、株式は企業の成長によって価値が増加するため、長期的にインフレを乗り越えやすいと考えられています。

ただし、注意点もあります。

インフレが進むと、中央銀行が利上げを行うことが多く、これが株式市場全体の下落要因になることもあります。特に成長株(ハイテク企業など)は金利上昇に弱い傾向があるため、株式の種類によっては影響を受けやすいことも覚えておきましょう。

本記事はライターが校正を行った上で作成した記事です。内容は2025年3月19日時点の情報のため、最新の情報とは異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

WRITER この記事を書いた人

一般社団法人確定拠出年金推進協会 東北支部

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