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ひよっ講座 vol.40 『外国為替の変動要因 その②』

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ひよっ講座では一般社団法人確定拠出年金推進協会東北支部の協力のもとiDeCoについてわかりやすく解説するコラムです。既に確定拠出年金を運用している方も、これから始めてみようと思っている方も、お付き合いください。

景気動向が与える影響

景気動向が、為替市場の需給にどう影響を与えるかを考えてみましょう。
景気の良い国には、海外から資金が流入し、その国の通貨に対する需要が高まります。

例えば、景気が良いのだから、その国へ進出して拠点を作り、直接商売を始めよう、などといった実物経済への投資が活発になります。また、その国の企業やプロジェクトへ資本参加や値上がりを期待した株式投資なども活発になります。こうした、海外からの投資による資金需要増により、その国の通貨が高くなると考えられます。

以上が教科書的な説明ですが、具体例を交えながら解説していきます。

ここでは、「実物経済への投資」と「資本・株式などへの投資」の二つに分けて説明します。また、タイトルには、「景気動向と為替」としていますが、「景気が良い国」を「魅力的な国」と読み替えると理解しやすいと思います。

実物経済への投資

さて、前回のコラムでMLBのドジャースに移籍した大谷選手の活躍は、円高要因か円安要因かという問題を出しましたが、魅力的な人物が海外で活躍すると稼いだ米ドルを最終的に日本円に変えることになるので「ドル売り円買い」で円高となります。反対に、メジャーリーガーが日本で活躍した場合、日本円で受け取った報酬を米ドルに替えるので、円安要因となります。

また、最近話題の台湾の企業が熊本に半導体の工場を建設しますが、熊本は、半導体工場を作るには魅力的な場所ということで、台湾ドルを円に換えて土地や建物の取得費を支払います。なので、円高になります。

一方、日本の自動車メーカーは、アメリカは巨大なマーケットで景気も良いのでアメリカに工場を建設しています。その場合、日本円を売って米ドルに替えて投資を行うので円安ドル高となります。

資本・株式などへの投資

最近、日本株が好調で2024年1月は大きく上昇しました。その要因は、アメリカを中心とした外国人投資家が日本株を買い越していることによります。その場合は、米ドルを売って日本円を買うのでドル安円高となります。反対に、新NISAが始まり、日本の個人投資家がS&P500指数の投資信託やアメリカのIT企業を多く含む投資信託を好んで購入しています。

その場合は、円を売って米ドルを買うことになります。

M&Aもしかりです。最近では、日本企業が潤沢な資金を活かして、海外の企業を買収しています。反対に、魅力的な日本企業を海外の企業が買収することもあります。前者は円安、後者は円高要因ですね。

まとめ

まとめると、景気が良く魅力的な国であったり、魅力的な人物がいたりすると円高になり、景気も悪く国全体が魅力に欠けると円安になります。外国人から見ると、日本は、とても魅力のある国です。多くの外国人観光客に来ていただき、外貨を円に替えて日本で消費していただきましょう。

次回は、内外金利差に着目して為替の変動を見ていきます。

本記事はライターが校正を行った上で作成した記事です。内容は2024年2月2日時点の情報のため、最新の情報とは異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

WRITER この記事を書いた人

一般社団法人確定拠出年金推進協会 東北支部

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