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ひよっ講座 vol.19 『iDeCo 運用商品を選ぶ為の基礎知識』

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#お金

ひよっ講座では一般社団法人確定拠出年金推進協会東北支部の協力のもとiDeCoについてわかりやすく解説するコラムです。既に確定拠出年金を運用している方も、これから始めてみようと思っている方も、お付き合いください。

世界的な「インフレ」

インフレとは、どのような状況のことを言うのでしょう。
インフレは、英語では「inflation」、日本語に訳すと「膨らむ」という意味になります。膨らむのは、商品やサービスの価格です。経済学では、CPIConsumer Price Index:消費者物価指数)が上昇する状況のことをインフレと言います。

インフレが起きる原因は、大きく二つの要因があります。

一つ目は、ディマンド・プル・インフレ、もう一つは、コスト・プッシュ・インフレです。

ディマンド・プル・インフレDemand Pull Inflation)は、Demand(需要)がPull(引っ張って)起きるインフレで、別名、「良いインフレ」と言われています。需要とは、皆が、商品やサービスを欲しがるので、需要と供給の関係で自然と商品やサービスの値段が上がります。好景気の時に起こるインフレですね。

コスト・プッシュ・インフレCost Push Inflation)は、商品やサービスの供給が足りなくて、Cost(価格)をPush(押し上げる)インフレで、別名、「悪いインフレ」と言われています。まさに、現在、世界中で起きているインフレは、このコスト・プッシュ・インフレです。ロシアが天然ガスなどの資源の供給を減らしたりして、世界中が困っています。

インフレに弱い金融商品は?

インフレになると金利が上昇します。金利を上昇させてインフレを抑え込むことを「インフレ抑制策」と言います。そのメカニズムは、以下の通りです。

1. 金融機関からの借入金利が上昇する
2. 企業や個人の借り入れのニーズが減退する
3. 企業は設備投資や人員を減らし、個人は住宅の購入などを控えるようになる
4. 商品やサービスの売れ行きが悪くなり、給与やボーナスも減る
5. 商品やサービスの価格が下がってくる
6. 景気が悪化する

金利が上昇する時に保有すべきでない金融商品(価値が下落する)は、銀行預金・郵便貯金、国債・社債が代表格です。
郵便局にお金を預けると、通常貯金は、0.001%、定額貯金は、0.002%です。
個人向け国債(新窓販国債)は、2年0.005%、5年0.3%、10年0.5%となっています。

日本のインフレ率

現在の日本のインフレ率は、2%を超えていますので。郵便貯金や国債の価値は、確実に目減りするのです。

確定拠出年金の運用商品ラインナップの中で金利上昇に弱い金融商品は以下の通りです。

・元本確保型として入っている、定期預金、傷害保険、個人年金
・日本債券型投資信託、外国債券型投資信託

一度、ご自身の運用商品を確認してみると良いでしょう。
意外と元本確保に入っていることが多いですよ。

インフレに強い金融商品は?

まずは、良いインフレのメカニズムをご説明します。
景気が良い時に起きるモノやサービス価格の上昇です。前回の続きで、景気が悪化するからスタートです。

1. 景気が悪化する
2. 日銀は、金利を引き下げて、企業や個人が借り入れをし易くします。
3. 企業は設備投資や人員を増やそうとします。
4. 商品やサービスが次第に売れるようになります。
5. 企業の業績が良くなり、給料やボーナスも上昇します。
5. 少し値段を上げても、企業や個人は消費を増やします。
7. 景気が良くなります。

では、インフレになると私たちの生活はどのように変わるのでしょうか?

インフレとは、ものやサービスの価格が上昇することです。
例えば、車が200万円で買えたものが、1年後2%上昇すると204万円となります。給料やボーナスがそれ以上に増えると、購入できますね。そうでないと、車のグレードを下げたりしないと購入できなくなります。

では、インフレに強い金融商品はというと、モノの代表格である不動産(実物又は不動産投資信託)と株式(個別株、株式型投資信託)が挙げられます。

先ほどの説明で、良いインフレの時(好景気)は企業業績が良くなると言いましたが、企業業績は株価に反映されるので、株式がおすすめです。

確定拠出年金 運用商品の選択

資産運用の基本は、「長期・分散・積立」です。
それぞれのポイントは、以下の通りです。

1. 長期:株式型の投資信託は、値上がり・値下がりが大きいですが、長期に保有をした場合、値下がりのリスクを軽減できるというものです。

2. 分散:伝統的に「株式、債券、不動産」の3資産に分散するとリスクを抑制出来て上手に資産が増えるというものです。

3. 積立:毎月コツコツと定期的に積み立てると、「高値つかみ」のリスクを回避できたり、下落しているときに、多くの数量を買えたりするメリットがあります。但し、大きく資産を増やす可能性は放棄することになります。

確定拠出年金の運用では、「長期」と「積立」は、システムの中に組み込まれています。「分散」のみ、各個人の選択となるのです。約20種類から30種類の投資信託が用意されています。その中から、1%刻みで100%になるように一つでも複数でも選択できます。

ここで、最も重要なポイントは、私たちは「日本」で暮らしていることを忘れない、ということです。

分散には、国や地域の分散も考慮する必要があります。私たちの日々の生活を振り返ってみましょう。スマホは、どの機種ですか?iPhoneならアップル、アンドロイドならグーグル。会社でPCを立ち上げるとマイクロソフト。ショッピングは、アマゾン。フェイスブックやインスタグラムは、メタのサービスです。いずれも、アメリカを代表する世界的に活躍する企業ですね。

日本人は、ホームカントリーバイアスが強い国民性だと言われています。ホームカントリーは、自分の国、バイアスは偏見という意味です。ついつい、日本の株式や債券に目が行きがちですが、「分散」という観点で、是非、世界に目を向けていただければと思います。

WRITER この記事を書いた人

一般社団法人確定拠出年金推進協会 東北支部

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