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フローレンス 『無園児を無縁児にしない』

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#子育て

認定NPO法人フローレンス協力のもと、子育て世代に知ってほしい情報を提供いたします。

フローレンスは「みんなで子どもたちを抱きしめ、子育てとともに何でも挑戦でき、いろんな家族の笑顔があふれる社会」の実現を目指す、社会問題解決集団。
今回は、「定期保育サービスの必要性」をテーマにお話しします。

無園児を無縁児にしない

フローレンスは、保育園にも幼稚園にも通っていない“無園児”、いわゆる未就園児が孤立するリスクをなくすため、親の就労の有無などによって定められる“保育の必要性”認定がなくても、すべての親子がニーズにあわせて利用できる「みんなの保育園」構想を政府に提言しています。
そして、2022年8月、来年創設される「こども家庭庁」の来年度予算案の概算要求に、無園児(未就園児)を定期的に保育園で預かるモデル事業の実施が盛り込まれました。

「保育園をすべての親子にとっての新しいセーフティーネットに」と考える私たちの訴えが、一歩前進したと受け止めています。ポイントは“定期的に”預かるという点です。これまでも、専業主婦家庭などが利用できる「一時預かり」という制度はありました。なぜ、一時預かりではなく、定期的であることが大切なのでしょうか。

きっかけは保護者の声

仙台市でフローレンスが運営している「おうち保育園かしわぎ」では、2022年4月から、一時預かりの仕組みを活用した定期的なお預かりを始めています。

おうち保育園かしわぎは企業主導型保育施設で、国の補助金を活用して運営しているため、両親ともに月64時間以上働いていることなどが利用の要件となっていますが、国の制度に基づき、定員が空いている枠を活用して、保育の必要性認定がない専業主婦のご家庭や育休中の利用も受け入れています。

きっかけになったのは、一時預かりで出会うお母さんたちの声でした。山本千尋園長はこう話します。

以前からリフレッシュ目的の一時預かりは行っていましたが、「転勤族で知り合いがいない」「孤立した子育てをしており、つらい」といった声に加えて、「コロナで児童館にも行けず、同世代の子と遊ぶ機会がない」という声も聞くようになりました。
一時預かりの場合、お子さんの様子や事情がわからないので、必ず30分の面談をして聞き取るようにしていますが、短時間で状況を把握するのは大変です。
定期的に利用していただければ、親御さんもお子さんも安心できるのではないかと考え、やってみようということになりました。

「もう子育てをやめたい」から「子どもがいて良かった」と思えるように

「おうち保育園かしわぎ」の定期利用者の一人にお話をうかがいました。

Aさんは、夫と2歳半の長女、1歳2ヶ月の長男の4人家族。夫婦ともに実家は遠方で、高齢のため頼ることは難しいと言います。さらに転勤族で、仙台市に引っ越してきたばかり。知り合いもおらず、情報を得ることすらできない状態でした。市役所から、一時預かりを行っている保育園の一覧をもらい、片っ端から問い合わせましたが、どこも断られたということです。

誰にも頼れない子育て環境で、下の子はまだ手がかかるのに上の子はイヤイヤ期まっただ中。
2人を連れて外出するのは無理!という状況でした。

一日中3人で家の中にいると、ストレスから上の子が下の子をいじめて泣かせる、テーブルや棚に登って飛び跳ねる、下の子にご飯を食べさせていると上の子がおむつを脱いで走り回る、上の子のおむつを替えていると下の子がそのうんちを触る、部屋は常に散らかっている…。
下の子は毎日夜泣きをするので、ちゃんとした睡眠が1年以上とれていませんでした。毎日イライラして上の子を激しく怒ったり、自然と涙が流れたりして、このままでは私も家族も壊れてしまう。助けを求めなくてはと思いました。

就職して2人を保育園にとも考えましたが、このコロナ禍、休園になったら誰が子どもたちをみる?入ったばかりの職場に何日も休暇をくださいなんて言えない。夫も何日も休めない。1人だけでも預かってもらえればなんとかなる、できれば継続的に利用できないかと思いました。 たまたま、かしわぎ園に定期利用について尋ねてみると、とても明るい声で「大丈夫です!」と言っていただけて、やっと助けてもらえる!と安心したのを覚えています。

保育園利用で子どもにも変化が

Aさんが「かしわぎ園」を定期的に利用するようになって3か月ほど。今は上の娘さんが週4回、下の息子さんが週1回、園で過ごしています。
最近の連絡帳には「お姉ちゃんらしいところも見せてくれます」「ことばもすごく増えてきました」「とてもかわいいです」といった記述が見られるようになっていました。

子どもと離れる時間ができたことで、一緒にいるときに本当にかわいいと思えるようになりました。
上の子は、保育園で思い切り体を動かして遊ぶことができるようになり、同年代の顔なじみのお友達と毎日触れ合って、言葉が増えました。
園で小さい子とも触れ合っているせいか、弟に優しくなりました。
また、私が下の子に手をかけられるようになり、離乳食を完了させ、幼児食に移行することができました。上の子に邪魔されてできなかったお昼寝もゆっくりできるようになって、眠くて不機嫌な時間が減ったと思います。

ひとりで背負うしかないのかな、もう逃げたい、子育てやめたい…を、やっぱり子どもはかわいい、子どもがいてよかった!に変えてくれた唯一の存在です。

定期預かりで広がる可能性

現在、フローレンスが運営する保育園で定期預かりサービスを利用されている方々にアンケートを行っています。
これまでに回答してくださった全員が「子どもがかわいくてたまらないという気持ちが増えた」、「全般的に子どもが成長したと感じる」と答えています。

フローレンスが2022年に株式会社日本総合研究所に委託し、全国の0歳以上の未就学児の保護者2,000人に行ったアンケート調査でも、無園児家庭の56.4%が定期保育サービスの利用を希望していました

もしも、週1日でも2日でも保育園を利用することができれば、保育士が子育ての悩みに寄り添い、継続して子どもの発達や育ちを見守ることができます。場合によっては、家庭内のリスクや異変にいち早く気づき、早期のサポートにつなぐことができます。
働く親のための保育園から、すべての子どものための保育園へと、私たちが考える理由はここにあります。

保護者自身や保育士の中にも、子育ては家庭ですべきで、保育園に預けるのはかわいそうと考える人が少なくないように思います。
でも、親御さんに心の余裕があったほうが子どももハッピーです。
子どもを預けてもいいんだよと、決して責められることがない社会にしたい。

「かわいそう」とおっしゃる保護者の方には「我々は子どもを楽しませるプロなので任せてください!」と言うようにしています!

「おうち保育園かしわぎ」の山本千尋園長

企業主導型保育所 おうち保育園かしわぎ

仙台市青葉区柏木1-7-35 つかさ屋第一ビル1F
仙台市営バス「歯学部・東北会病院前」下車、徒歩3分
定員:19名
園情報をもっと詳しく見る>>

一時預かりの要項

1.対象児童
0歳児(生後57日)~2歳児(2022年4月以降に3歳のお誕生日を迎えるお子さん)まで

2.利用日
月曜日から金曜日で必要な日のみの利用
※日曜日、国民の祝日等の休日、12月29日~1月3日はお休みです

3.利用時間
9時00分~16時00分のうち、保育を必要とする時間
それ以外の時間帯(※開園時間の時間帯に限る)での保育をご希望する方は、ご相談ください。
※午前の戸外活動(10時~11時)、お昼寝中(12時~15時)の登園はできるだけご遠慮ください。

4.利用料金
・保育料
1日 3,000円/回
半日 1,500円/回(9時00分~12時00分、13時00分~16時00分)

・食事代(希望する場合)
昼食   300円 ※離乳食対応可(応相談)
ミルク  100円
おやつ代 100円

5.支払方法
電子マネーでお支払いください。

6.申込み方法
①利用を希望される場合は、利用希望日の4日前までに、利用希望園に電話で空き状況をご確認ください。
②空きがある場合、利用予約をおこないます。
(提出書類がお手元にない場合、面接日前までに園までお越しいただき、書類をお受け取りください。)
③事前登録制のため、利用希望日の3日前までに対象のお子さんと一緒に園にお越しください。
その際、下記必要書類を提出し、申込の手続きをお願いします。
(申込み手続日は事前にお電話でご予約ください)

<申込み提出書類>
・一時預かり事業利用申請書
・児童票
・健康保険証の写し
・母子健康手帳

7.保育内容
自園でお預かりしているお子さんと同等の保育を行います。
園外での活動(お散歩、近隣の公園、児童館、連携保育園など)や、夏季は水遊びも行っています。

※詳しい内容、空き状況は園へお問い合わせください。

WRITER この記事を書いた人

私たちは「みんなで子どもたちを抱きしめ、子育てとともに何でも挑戦でき、いろんな家族の笑顔があふれる社会」の実現を目指す、社会問題解決集団フローレンスです。「訪問型病児保育」「障害児保育」「小規模保育」など、常識や固定概念にとらわれない新たな価値を創造するイノベーター集団として、これからも走り続けます。

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