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プログラミングは、これからの時代を生き抜く力になる

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#子育て

プログラミングは、これからの時代を生き抜く力になる

プログラミングの必修化や社会情勢の変化に、漠然とした不安をお持ちの親御さんもいらっしゃるのではないでしょうか?
本コラムは、子どもたちとプログラミングに特化した内容で、「なぜプログラミングが必要なのか?」と「プログラミング教育は、どうすればいいの?」についてお話しします。

プログラミング教育の現状

2019年に始まった国が推進する「GIGAスクール構想」と共に、2020年からは小学校においてプログラミングが必須科目になり、子どもたちの授業でも急速にICTの活用が進んでいます。

小学生にタブレットやパソコンを持たせることに反対意見を持つ親御さんもたくさんいらっしゃいますが、学校教育においても果たしてその考えは通用するのでしょうか?

先進主要国では、日本の学校でのICT活用の割合は圧倒的に低く、「ITで世界をリードする日本」というイメージを持つ外国人が一番驚くのは、日本の教育現場におけるアンチICTの現状です。それもそのはず、欧米ではプリスクール(小学校に入る前のスクール)からパソコンに触れさせ、小1からプログラミングの基礎を始めます。学校の宿題はデジタル化されているのが標準で、宿題をまだ紙ベースで与え、提出させている日本にただ驚くばかり。正直、欧米に遅れること10年以上にして、やっと学校でのパソコンの活用が始まったか、というのが筆者の感想です。

5~6年前ぐらいから子どもをプログラミング教室に通わせて、国語や算数と同じ感覚で勉強させる親御さんが増えてきています。自分はパソコンが苦手だから、子どもには早いうちから習わせておけば間違いない、と思って子どもを通わせている方も多いかもしれません。それも間違いではありませんが、ひとつ明らかなのは、学校でのICT教育、プログラミング教育は、文科省の提示している水準には全く追い付いていないという現状です。
その理由としては、もともとプログラミングという作業は時間がかかるものなので、学校の授業時間内である程度の時間を取ることが難しいということ、プログラミングに慣れていない先生にとってはそれを授業に取り入れることはかなり抵抗がある、などが挙げられます。そういった理由もあり、子どもをプログラミング教室に通わせることは意味があると考えられます。

プログラミングをすることで子供は何を得られるのか?

では、子どもがプログラミングをするとどんな良いことがあるのか?
漢字の練習や算数のドリルをすると、効果が目に見える形で現れますが、プログラミングではどうでしょうか?

プログラミングとは、一般的に「コンピューターに何かを処理させるための命令(プログラム)を書くこと」で、私たちの日常はすべてこのプログラムによって動いていると言っても過言ではありません。

家電や車、生活のインフラである電気や水道、電話など、身の回りのものでコンピューターが搭載されていないものはほぼありません。コンピューターなしで「動く」ものはゼンマイ仕掛けの時計ぐらいではないでしょうか。今では、ビジネスはコンピューターなしでは成り立たないし、農業へのIT参入も著しい。つまり、何をやるにしてもコンピューターが必要だし、コンピューターを動かすためにはプログラミングが必要です。そのため、単純に子どもの将来の職業を考えると、プログラミングは有益なスキルであることは間違いありません。

では、将来仕事でプログラミングをしない人は、プログラミングを学ばなくても良いのでしょうか?

プログラム言語には様々なものがあり、例えば、英語やフランス語など言語を話す相手によって選択するように、プログラム言語もAIならPython(パイソン)、科学技術計算ならFORTRAN(フォートラン)というように、用途に応じて選択します。小中学校で学ぶプログラミングでは、コーディング(プログラムを言語の表記法に従って記述すること)よりも、文科省がいうところの「プログラミング的思考」や「論理的思考」を育てる、ということが目的になります。

プログラムの記述には、極めて論理的なアプローチが必要です。
「これがこうだからここはこうなる」とか「これがこうなら、ここはこうではないか」というように、プログラミングとは自分の中で思考を重ねる作業です。一つのことを深くじっくりと考えることは、集中力や思考力を鍛えます。また、プログラミングの大部分はデバッグ(プログラムの間違いを修正する作業)のため、何度も何度も試行を繰り返して作業を続ける忍耐力も必要です。最後までやり遂げたときの達成感は大きな自信につながり、自己肯定感を形成します。「自分はできる」と思うことは非常に大切で、失敗を恐れずにチャレンジしていくマインドセットを持つことは、社会人にとっても必要不可欠な要素です。また、こういった経験は、子どもの人間形成や思考に大きく影響を及ぼし、将来の成功につながるとも言われています。

学校での評価は「学力」つまり何をどれだけ知っているか、だけで測られることが多いですが、今後は社会を生きぬくための自信やチャレンジ精神などを身につけることが重要であると言われています。そしてプログラミングはこれらの能力を身につけるのに適しているのです。世界中で最も使われている子ども用プログラミング言語Scratch(スクラッチ)*を開発したレズニックは、「何度も失敗を繰り返すことができ、自分の思考を忍耐強く表現していくプログラミングは、「生きていくための力」を育むのに非常に有用である」と言っています。

*Scratchは、MITメディア・ラボのライフロング・キンダーガーテン・グループの協力により、Scratch財団が進めているプロジェクト

STEM教育とは

プログラミング教育と並んで取り上げられるのがSTEM(ステム)教育です。
Science(科学)、Technology(テクノロジー)、Engineering(工学)、Mathematics(数学)のそれぞれの頭文字を取ってSTEMですが、最近ではそれにArt(美術)もしくはLiberal Arts(教養)が加わってSTEAM(スティーム)とするのが一般的です。

アメリカでは30年以上も前からこの教育の重要性は提言されていましたが、オバマ元大統領が演説で触れたことで注目を集め、日本の文部科学省や経済産業省もその策定を打ち出しています。

もともと、“A”を除いた理工系科目の学力向上のためのアプローチを指していましたが、実社会では急速な技術の進展により激しく変化し、多様な課題が生じており、文系・理系といった枠にとらわれずに、さまざまな情報を活用・統合し、問題の発見と解決、社会的な価値の創造に結び付けていく資質・能力の育成が必要とされています。
*文部科学省「STEAM教育などの各教科等横断的な学習」より

つまり、実社会に対応するためには、「教科にとらわれない教科横断的で包括的なアプローチ」が必要であり、1つのことに対していろいろな方向から捉えることで、より深い学びにつなげるべきである、ということです。

STEM教育のアプローチとしてよく実施されているのが「モノづくり」です。「モノづくり」はエンジニアリングの基礎で、理工学との相性が良い。例えば、強度を保つ構造のひとつに三角形がありますが、実際にそれを作ってそうではない形と強さを比べたり、物体が斜面を滑り落ちる時の摩擦の大きさは、表面の素材によって違うとか、実際に手で触って動かしてみることで、教科書を見たり動画を観たりする勉強よりも深い学びを体験できると言われています。モノづくりを通して子どもが学ぶことは知識のみならず、試行錯誤や失敗から成功を導き出すという、子どもにとってはとても貴重な体験も生まれます。

STEMに特化したスクールSTEMON

このような学習法を取り入れている子どもスクールに「STEMON」があります。
プログラミングとモノづくりを通したSTEM科目をバランスよくカリキュラムに組み込んでおり、就学前からのコースもあります。
継続率が非常に高く、子どもたち
が楽しんで通っているという何よりもの証拠です。学校とは違う学習体験を通して、子ども自身が新しい発見をし、モチベーションへとつながる良いサイクルが出来上がっているからではないかと思います。

STEMON仙台校


仙台市宮城野区榴岡2-1-15 大内ビル4F B号室
アクセス:仙台駅から徒歩3分
お問い合わせ:022-762-5377
教室についての詳細はHPをチェック!

最後に・・

2019年から国が推し進めている「GIGAスクール構想」では、公立学校に通う全ての子どもに対して一人一台のPC端末を与え、多様な子ども一人一人に個別最適化された、創造性を育む教育環境の実現を目標としています。(文部科学省ホームページ 「GIGAスクール構想について」より)

日本では出生率の低下によって、20年後、30年後にはIT関係の人材が圧倒的に不足すると言われています。
一方ではAIロボットなどが定型的な仕事をするようになると言われており、人口減少の日本においては、それも悪いことではないかもしれません。しかし、AIやロボットとの共存の時代がやってくると、日本においては現在の仕事の6割がなくなると言われています。つまり、簡単な仕事はロボットがするようになるので、人間の役割は、アイディアを出して新しい創造をしたり、システム(組織や制度、体制など)の問題を見つけ、その解決を図ることになるのです。問題解決には、システムを分析する論理的思考、それを文章や図式などで表す表現力、解決手段を考える創造性、そしてそれを実行に移す実行力やリーダーシップが必要です。混沌とした時代を生きていく今の子どもたちに対して、私たち大人ができることは、このような力を育む機会を与えてあげることと考えます。

WRITER この記事を書いた人


ペレライン 由紀
福島県いわき市出身、いわき市在住。東日本国際大学特任准教授、福島工業高等専門学校講師。日本STEM教育学会会員。NPOいわき情報技術研究会所属。東京理科大学卒業後、東京や仙台でITや英語の講師をし、2006年よりアラブ首長国連邦(UAE)の国立専修大学で10年間数学講師。英国ボルトン大学ポストグラデュエートディプロマをITで取得。研究テーマは「教育とICT」、「STEM教育」。STEMON講師も務めている。

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