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ひよっ講座 vol.63 『会社拠出+選択制の留意点③ 事業主返還について』

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ひよっ講座では一般社団法人確定拠出年金推進協会東北支部の協力のもとiDeCoについてわかりやすく解説するコラムです。既に確定拠出年金を運用している方も、これから始めてみようと思っている方も、お付き合いください。

会社拠出プラス選択制(通称A+B)では、「事業主返還」といって、早期に会社を辞めた従業員から会社が拠出してあげた金額を返還させる制度をオプションで付けることができます。早期というのは、3年以内のことで、1年以内とか2年以内とすることもできます。

このことを経営者にお話しすると二つの真逆のリアクションが返ってきます。

一つ目は、会社が福利厚生で出してあげているので、たとえ早期に辞めても返さなくても良いという意見です。実際に、事業主返還をつけないという企業様は多いです。

二つ目は、事業主返還を付けれるのであれば、是非付けたいというものです。中退共に事業主返還という制度はなく、すぐに辞めた人にも退職金が支払われるのは納得がいかないという意見は、よく耳にします。

事業主返還を付ける場合に注意していただきたいことは、勤続年数の短い人には会社拠出のみにしておくというものです。従業員が毎月の給与を原資として掛金を拠出する選択部分を付けてしまうと、会社が出してあげた部分と従業員の出した部分と混在してしまい、「いくら返還しなさい」と言えなくなってしまいます。会社が出してあげた部分のみなら、辞めた時の資金をそのまま返還すれば足りることになります。

但し、運用で損失が出た場合など、「会社が出してあげた金額に足りない部分は、埋め合わせて返還しろ」とは、言いにくいですね。ここは、会社として割り切りが必要になるところです。

事業主返還について、具体例で説明します。
毎月、一律で3,000円を会社が負担し、事業主返還の期間を3年とした場合、
入社したばかりの人は、3年間会社拠出の3,000円のみ
入社して2年経った人は、1年間会社拠出の3,000円のみ

入社3年以上の人は、会社拠出の3,000円に自身で選択した金額を加えた金額を拠出できます。ここで、自身で選択しない選択をすることもできます。その場合の掛け金は、会社が出してくれる3,000円となります。自身で選択できる金額の上限は、55,000円-3,000円=52,000円となります。

本記事はライターが校正を行った上で作成した記事です。内容は2025年2月12日時点の情報のため、最新の情報とは異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

WRITER この記事を書いた人

一般社団法人確定拠出年金推進協会 東北支部

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